活動報告

【お知らせ】
車座勉強会「テーマ:視覚障害者の日常生活」

車座勉強会「テーマ:視覚障害者の日常生活」が行われました。(女性委員会)


テーマ:視覚障害者の日常生活

講師 :高橋恵子さん(「社会福祉法人視覚障害者総合支援センターちば」所長)
日時 :6月11日(土)午後1時半~4時半
みなさん、日頃、ユニバーサルデザインを心掛けて設計・施工されていることと思います。
その事と関連して、視覚障害者の方たちは、街中や日常生活でどんな点を不便・危険と感じられるのか、どんな工夫をしておられるのか、周囲はどんな手助けが出来るのか? お話を伺いました。


1.不便・危険と感じること

情報の収集と移動が不便。特に晴眼者(視覚障害のない人たち)にとって便利な物が不便な事も!
○総合病院での移動。受付け、検査、支払いなど病院内であちらこちらに移動しなければいけない。
○ATM・券売機。凹凸がないボタンやタッチパネルは指で判別できない。
(最近は音声案内の物が少数だが設置されている)
○障害者用の広いトイレ、じゅうたんフロア、吹抜けの建物など。
空間認知は音の反響の仕方で掴めるが、広い空間や音を吸収してしまう場所は情報を得にくく、戸惑うことがある。
○表示や案内
・男性・女性トイレの表示。特に、同じ駅で場所によって男女トイレの場所が左右入れ替わっていると混乱する。
・外出先のトイレで便器・ペーパーホルダー・洗い場が従来のイメージと、形や設置場所が変わっていると捜しにくい。
その場合、点字で説明があってもその説明がどこにあるのかを見つけるのが困難。
・買い物で…「○○を下さい」と口頭で買い物できる小売店が減っている
パックされているものが増えているが、触って物の判別ができない
色の違い、値段、食品の賞味期限を確認できない
(洋服の買い物は、お店の人に色の組み合わせなども相談にのってもらう。後で柄や色が分からなくならないように
買った時に印をつけておく)
・ビン・缶の分別収集。色の違うビンの仕分け先が分からない
・電灯のスイッチ。スイッチに突起がついているものが良い。(今、電灯が点いているかどうかを触って確認できるため)

2.介助のポイント

○まずは心のバリアフリー(障害者に対する壁を取り除き、理解を深める作業)です!
視覚障害があっても、少しの介助があれば、一人でも普通に生活を楽しめる…という事を理解する。
(障害への見方を自分自身が元気な時に考えておくと、自分自身が何かの障害を持った時にも前向きに取り組める)
○駅のホームや横断歩道など危険がある場所で、白杖を持った方にお会いしたならば積極的に声をかけてほしい。
慣れた場所でも込み合っていると方向感覚が狂ってしまうこともあるので、さりげない声掛けが手助けになる。
○声を掛ける時は、杖を持った手は絶対に掴まない。(方向を見失ってしまうため)
○歩行の誘導(但し、規則ではなく、個々の障害者の方に聞いてみるのが一番よい)
・下におろした自分の肘の少し上あたりを視覚障害者に握ってもらい、自分が半歩前を歩く。
・階段は一度止まって、「上り階段ですよ」などと声を掛ける。
・声を掛ける時は「何メートルくらい先に…」のように具体的に言うなら、より親切。
○一緒に買い物をする際は、お店の人とのやりとりは直接本人にしてもらうようにする。
(お店の人は介助者に向かって話しかけてしまう事も多いが、意志は自分で伝えられるので…)
○そうじや食事の際に、物を移動する時には必ず声をかけること。置いた場所を記憶しているので、変わっていると戸惑う。

3.参加して…感想

タッチパネルやおしゃれなデザインのトイレルームなど、晴眼者には良く思える物が不便で使えない方々がいる、という事、また今までにない新しい発想が何でも良いというわけではなく、従来の決まったデザインの方が良く分かっているので使い易いという事もある…という事を改めて考えさせられました。
街や家の設計の際、こうした色々な状況の方のことを少し思い巡らすだけでも改善できる点があるように思います。
それと共に、やはり“人の力”~みんなのちょっとした手助け~の大切さも感じました。
講師の高橋さんは、よく似あうオレンジシャーベット色の素敵な装いをしておられました。絶えずお茶目な笑顔で話してくださり、視覚障害者用の文字盤を触れる時計なども楽しいおもちゃを自慢するかのように見せてくださいました。「同じデザインの色違いの靴や服は買わないことにしている、左右違う色の靴をはいて出かけてしまうと困りますからね…アハハ」こんな口調です。映画も野球観戦も博物館(展示物が触れる博物館があるそうです)も好き!とのことでした。
見えないということは危険も不便もあると思いますが、高橋さんはそれを大きな問題と感じさせない本当に魅力的な方です。ご自身が率先して「心のバリアフリー」を開拓して下さったように感じました。
~心の楽しい人は常に宴会をもつ~ この言葉が浮かびました!

文筆者 太田陽子